![]() | ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書 687) (2007/11/06) 梅田 望夫 商品詳細を見る |
ネットに普段から慣れ親しんでいる人にとって、知らないことを知るための本ではなく、考えさせられる本。前著「ウェブ進化論」がネットの啓蒙本だったのに対し、本書はタイトル通り「ウェブ時代の生き方提案」となっている。特に若い世代に対して。
考えさせられるのは2つの側面から。ひとつは働くということ、特に会社という組織との関わり方について。もうひとつは、ネット社会の将来像について。
本書では、組織に無自覚に寄りかかるのではなく、自分の好きなことを貫くという生き方を提言している。その実現手段として、ネットが大きな武器になると説く。
「ウェブ時代」の将来像として、自分としては好きなことを貫いて、ネット空間「だけ」で生計を立てるというのは、かなり難しいと思う。そうした生き方がごく一部の人間以外に広く可能になるとも思えない。難しさでは大リーガーになるのと同等かもしれない。
この本にあるほどネットに期待するかどうかは別として、本書で考えさせられる、もうひとつの側面、自分の好きなことを貫くということは、徹底的に自分という存在を考え、経済的な面からも社会との接点を相当にしたたかに探っていく行為でもある。
この本で訴えているのは、安易な大企業批判・ベンチャー礼賛でもなければ、ネットへの逃避推奨でもない。徹底的に考え、したたかに生きていくことを説いている。好きなことを貫くというのは、安易なネット空間への逃避と空想で叶う夢ではない。
それは、大企業に身を委ねて嫌なことも受け入れる代償として、安定を保障されているという、いわば組織に飼ってもらっている生き方よりも、好きなことを本当に貫くというのは、野生で一人生きていくというような、相当の覚悟が必要な道だと思った。


