![]() | 新聞社―破綻したビジネスモデル (新潮新書 205) (2007/03) 河内 孝 商品詳細を見る |
メディア企業の経営実態というのは、お互い突かれたくない矛盾を抱えるがゆえにほとんど報じられることはない。本書は新聞社の矛盾だらけの経営実態と、著者なりの解決案を示している。
まず改めて驚くのは販売店と新聞社の爛れた関係だ。「押紙」という販売部数の大幅な水増しなど知識として知ってはいたが、本社からの補助金や折り込み広告の売上増などで吸収したり、販売店と本社の関係はもはや癒着しきっていて、「改善」や「正常化」などという生易しい言葉では済まないほど、もはや身動きすらとれない関係ではないかと感じさせる。
新聞社とテレビ局の関係への指摘も示唆に富んでいた。特にテレビ局と新聞社が系列化することで相互批判がなくなって改善の機会を逸するというのは傾聴に値する。新規参入を排除し護送船団を必死で守り抜くテレビ局の経営陣、そして新聞販売店の実態など、相互の事業基盤が抱える問題点を温存することになった。お互い、自分の高給を実現する仕組みの矛盾は最も痛いところだろう。
また、新聞社のネット戦略についても触れている。ネットでの記事有料化に向かったウォールストリート・ジャーナル、一部有料化のニューヨークタイムズ、そして無料配信で広告収入に頼ったワシントンポスト。最も成功していると思われるウォールストリート・ジャーナルでも年間60億程度で総売上の数%に過ぎないという実態にも言及している。
読者でも情報発信を可能にしたインターネットによる超・情報供給過多の時代。そこでは、自らの胡散臭さや振る舞いは当然のように白日の下に晒される。読者と書き手の垣根すらなくなりつつある大競争時代を生き抜くには、事業基盤や取材手法など単なる言葉だけではない、自らの振る舞いをも含めた「言論」でなくては、もはや見向きもされないだろうし、それは既に現実となりつつある。


