![]() | 研究計画書デザイン―大学院入試から修士論文完成まで (2006/02) 細川 英雄 商品詳細を見る |
どの会社に就職するかを悩むだけでなく、大学院への進学も含めて悩んでいる人もいるかもしれない。そんな大学院へ進学すべきかどうか悩んでいる人に、考えるきっかけを作ってくれそうな本。
実は僕も大学院を出ているのだが、ただ漠然と進学し、研究とは全く関係のないマスコミに就職した。大学院の期間を無駄だったとは思わないけれど、もっと有意義に、仕事にもつながる形で過ごせたのではないかと、今では思う。
「研究計画書デザイン」はタイトルは修士の入学試験に提出しなくてはいけない、「研究計画書」の書き方指南のようだけど、内容は単なる書き方のノウハウ集ではない。なぜ大学院に進学するのか、根本的に考えさせられる内容になっている。
大学院に進学し、一生研究に打ち込むというのは、別に本を読むのが好きなだけで済むものじゃない。現実との接点のなかで、思索と理論、そして現実での検証を行き来する。
研究は自分に根ざした、自分固有のものでなくてはいけないという著者の訴えも、研究を漠然と論文を読むだけと思っている人にとっては少し以外かもしれないけれど、その通りだと思う。
普通の会社での仕事でも、研究と同じように考えることは大切だと思う。けれど、研究のようにオープンに他人に自分の考えを伝え、議論のなかで検証し、自分の考えを高めていくというのは、実務に忙殺され、会社の利害を背負っているなかでは実は簡単ではない。
また、日本語教育を専門とする著者だけに、日本語教育に即して書かれているけれど、他の分野でも十分役に立つ。既に教育の現場に立つ日本語教師の人の大学院進学の悩みに答えるかのような構成ににっているだけに、大学院進学か就職か考えている人にも、より示唆に富むと思う。
ただし、研究がばら色というわけはないことは言っておきたいと思う。単純に考えても、今、大学の教授にあるような人たちは大体、若くても40代、大体は50代以降の世代。今より遥かに大学進学率も低かったし、大学院に進む人も少なかった。それが今や、当時より大学院への進学率は上がり、しかも子供の数は減っているので、大学でのポストは減る傾向にある。実際、特に理系では高学歴ニートのような人も少なくないという。研究が本当に好きでなければ、やれない仕事でもある。
好きなことを貫いて生きるということには、それなりの覚悟もまた必要だろう。
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