![]() | 「もうこの会社やめたい」と思ったとき読む本 (2004/08) 古田 英明、縄文アソシエイツ 他 商品詳細を見る |
「カリスマヘッドハンター」とまで言われるヘッドハンターが書いた転職の本。ヘッドハンターに限らず、人材紹介会社は転職を斡旋することで、転職者の年収の30%程度を手数料として得る。つまり転職が盛んになるほど儲かるのがヘッドハンターなのだが、転職を勧めてはいない。むしろ、転職しない方が良いと断言している。
会社を辞めたいと思ったことがない会社員はまず、いないだろう。けれど、転職だけで解決する問題というのは実は限られている。
例えば上司がダメという場合。ダメな上司にあったからといって、転職先でもダメな上司に当たる可能性はある。昇進が同期より遅れたとしても、転職先でも遅れないとは言い切れない。つまり、「〜が嫌だ」という理由の転職だと、超・個性派社長が独裁体制を敷いているような、よほど癖のある社風の会社でもない限り、問題は必ず解決するとは言えない。
むしろ問題は周囲だけではなく、自分のなかにもある。問題の半分の原因が環境で、半分は自分自身だとすると、転職することで環境は変わるが、自分自身が変わらなければ、問題が完全に解決するわけではない。
この本の中でも「最低3年は何があっても、頑張ってみるべき」、あるいは巻末では「成功の秘訣は踏みとどまること」とまで訴える。また、20代は「仕事とはどういうものか身につけるべき」、「ひとつの会社でビジネスの基礎をじっくり学ぶべき」だとして「30歳未満転職厳禁」だという。
また転職したいという自分の心を省みて、「自分が悪かったと素直に認められる人は転職で失敗することはまずありません」という。この本では、すべての問題を「他責」ではなく「自責」と考えられるかに貫かれている。
書いてあることはきわめてまっとうなのだが、本気で転職を決意した人が、この本を読んで気が変わることはないだろう。転職を決意した人は、決意に至るまでに、自分なりに試行錯誤した後でも問題が解決しなかった、あるいはどうしようもない状況だと、実際にそうなのか、それとも自分だけが思っているかは別にして、少なくとも自分自身では信じているからこそ、本気で転職を決意したのだから。
既に本気で転職を決意した人向けというよりも、飲み屋で「こんな会社辞めてやる」と同僚と盛り上がっている人、あるいは会社を辞めたいのだけれど、本当は上司さえ変われば今の会社に残りたいという人が、自分自身の仕事のあり様をもう一度見つめなおすには最適の本だと思う。


